[ご注意]

💡 (旧解釈)本記事は2002年にメルマガ公開したものであり、記事中の「ウッドデッキバルコニーの裏技」は現在、認められていません
(東京エリアで法的な取扱いが変わりました)
💡 new! 2階リビングからつながる広々としたウッドテラス
2019年の建築基準法改正(建ぺい率の緩和)を利用した新しいアイディア😎を実践中です。
続編コラム執筆中。お急ぎの方はお問合せください。
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💡 本記事の「半地下による裏技」は現在も可能です。その設計方法をテーマとした最新コラムがあります。
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半地下のある家。
土地15坪、裏技の半地下とバルコニーテラス

【ieレシピ】008(2002年/過去メルマガ:エス発行からの再録です)
 

【レシピ】

(1)何階建てが可能か?

(2)地下をつくる裏技

(3)おトクな出窓

(4)ウッドデッキバルコニーの裏技

(1)【何階建てが可能か?】

 
まずはさっそく設計図(断面図)。

半地下+地上2階のミニマルな狭小住宅。上の階では外側にテラスが張り出しています。

これをどういうワザで設計したのか?
順を追って見ていきましょう。


この建物に与えられた条件は以下のとおり。

・東京の都心近くの住宅地
・土地面積は、15坪(約50㎡)
  (↑せまい!!)

・第1種低層住居専用地域

閑静な住宅地であるがゆえに、高さや大きさがたいへん厳しく規制されています。

・建ぺい率:40%
・容積率制限:80%
・第1種高度斜線(北側斜線)


Q:
この15坪に、どれくらいの家が建てられるでしょうか?


A:
建物をたてられる面積(建築面積)
=15坪×40%=6坪(約20㎡)。(畳12枚分)

全体で可能な室内面積(床面積)
=15坪×80%=12坪(約40㎡)。(畳24枚分)


・・・ふつうに考えれば、これは大変せまい家になりそうです。家族で住むのは無理。

(建ぺい率)
建ぺい率40%とは、土地の面積の40%にあたる部分にしか建物をつくることができない。
その部分の面積を、「建築面積」という。

(容積率)
容積率80%とは、室内面積が、土地の面積の80%に相当する建物しかつくることができない。
その面積を、「床面積」という。


では、
間取りを見てみましょう。

2階

1階

地下

床面積18坪(60㎡)。
地下のある、2階 建て。
広いバルコニーテラスと車庫もついています。

これでなんとか小さな家族なら住めそうな感じです。

ミニマムな構成で、
・いちばん下の階に寝室。
・中間階に玄関と書斎、水まわり。
・いちばん上にリビングとバルコニーテラス。
それぞれの位置関係をみてください。

それぞれとても小さな空間ですが、配列と大きさのバランスを工夫して、部屋ごとに最適化した広がりを演出しています。

(2)[地下をつくる裏技】

 
あれ?

さっきの計算で、床面積最大12坪だったのでは??

どうして18坪も可能なの??
(まあ、それでも小さいですが)

じつは、
とってもお得な規制緩和措置が、建築基準法の中にあるのです。

「全体の1/3を限度として、「地下室」を容積率計算から除外できる」、というもの。

上のプランでは、各階の面積20㎡が3層で、合計60㎡。

つまり、地下室の面積20㎡は全体(60㎡)の1/3。

つまり、この地下室は容積率計算からまるまる除外できるわけです。


でも、
地下室かあ…

薄暗くて湿っぽい地下はNG。
できるだけ好環境の地下室をつくりたいところ。

そんなときの裏技。

完全な「地下」ではなくて、
「半地下」に!

建築基準法上では、一定の条件を満たせば半地下でも「地下」として扱えます。

(詳細はお問い合わせください。

ヒントは上の断面図にあり。)

この考えをつかえば、きちんと窓のついた、容積率以上の部屋がバッチリ可能となるのです。

では、トップの画像をもう一度みてください。

青い立体が「地下なし」。建ぺい率40%、容積率80%です。

赤い立体が「半地下あり」。40%と80%を守ったうえで、半地下に40%分の床面積がプラスされます。

2階しか建てられないはずが、半地下がプラスされて実質1.5倍の規模になっているのが分かりますね。

ただし、工事コストや土地の特性(湿気や方位)など色々と難易度高い条件があります。

半地下のある家を目標にして土地を買うときは、必ず詳しい建築士に相談してください。

(3)【おトクな出窓】

 
次の「ワザ」。

「出窓」です。

間取り図と、外観図をもう一度見てください。

大きな出窓が、1階と2階それぞれに出ていますね。

出窓も同様に「容積率」から除外できる規定があります。
ただしもちろん、除外できるための条件がこと細かに規定されています。注意が必要です。

規定をうまくクリアすれば「出窓」の効果はバツグン。

で、効果的な出窓を設計するコツは、

ただの「窓」ではなく、空間を広げる「装置」として考えること。

周辺状況を読み取ったうえで、外部に向かって空間を心理的に拡張する。

このような小さな家を設計するときは、「広く感じさせる」ことを意識してデザインすることが大切なのです。

(4)【ウッドデッキバルコニーの裏技】

 

さて、さらに、もうひとつ。

間取り(2階)をよく見ると、大きなバルコニーが建ぺい率40%をかなりオーバーしていますよね??

ほぼ土地いっぱいに建物がたってます。

・・・これって違反じゃない??


じつは 「建築基準法」というもの、管轄の役所によって解釈が異なる場面がたまにあります。

(私個人的には、それってマズイと思いますが・・)

たとえば、今回のプラン。
バルコニーテラスを含めた建築面積は、33.5m2。建ぺい率40%(19.8m2)をおもいっきりオーバーしています。完全にアウトです。

しかし、 バルコニーテラスのつくりに注目。

床はスノコ状の透け透けです。

断面図をよ~く見て下さい。見えないかな..目を凝らして!

これなら、スケスケなので「建物の部分とみなさない」、らしいです。
このバルコニーテラスは建ぺい率から除外できるのです。
よって、このプランの建ぺい率は40%以内です。

役所担当者がそういうのですから、ズルではありません。

ところで、このプロジェクトではバルコニーテラスの下に車を置いていますが、ここはちょっと注意。法解釈としてNG判断されるケースが多いです。(いろいろアリますね..)

一方で、「ぜったいに建ぺい率に算入せよ!!」という、お役所もあります。要注意です。


 
 
2019年/続編執筆中!けっこう長文です。気になるところからどうぞ!

シリーズ「半地下のある家。容積率以上の2世帯住宅を設計する」
(序)▶小さな土地で2世帯住宅は可能か
(1)▶2世帯住宅=単世帯住宅×1.5倍
 
..つづきます!

「半地下のある家」は
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